政治の原理
社会主義の深遠なる根本儀はただちに宇宙・人生に対する一派の哲学・宗教にして厳粛なる科学的基礎の上に立ち、貧困と犯罪とに理性を攪乱せられていたずらに感情と独断とによりて盲動するものにあらず。
国体論及び純正社会主義
北一輝
明治39年(1906年)
北一輝によれば、どうやら社会主義が宇宙につながるものであるらしいのである。とんでもない話だが、北一輝によれば政治は自然の法則と無関係ではないらしい。
昔はこのようなことをまともに受け取る人も居たのである。
彼が信奉していたのは社会進化論に基づく社会主義であり、社会主義こそ理の当然として実現すべきテーマだった。社会主義国家実現のために、彼にとって天皇は使い勝手のよい道具のようなものだったらしい。
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そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。
日本国憲法前文
昭和21年(1946年)
主権在民が非常に歴史が浅いものであり、むしろ近代化とともに作り上げられてきたものである。
「人類普遍の原理」とはいいがたいものだ。
しかし、日本国憲法を成り立たせるためには、「普遍の原理」と言い切る必要があるのだろう。
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人はもともと完全に自由な状態にあり、自然法の範囲内であれば、自分の行動を自分で決め、自分の財産や身体を思いのままに処することができる。その際、他人の許可を得る必要もないし、他人の意志に左右されることもない。
市民政府論(統治論第二篇)
ジョン・ロック
1690年
角田安正訳
これはまるで物理学の実験モデルである。完全に真空な箱の中に自由に飛び交う分子があるように、人間を描いている。
人間はもともと完全に自由ではないし、自分の行動を自分で決められないし、自分の財産や身体を思いのままに処することはできない。
民主主義とはこのような仮説をもとにしているとすれば、民主主義は一つの実験なのかもしれない。